人と空間を共にする場所で長居ができない時世がら、喫茶店やカフェからは足が遠のいてしまったけれど、たまには家以外の場所でコーヒーを飲みたいと思う。どこで。外か。
ということで、近くでコーヒーがテイクアウトできる場所に向かう。コンビニかな。どのコンビニでもコーヒーは買えるけど、ローソンに決めた。
Twitterで流れてきたローマ出身の誰かのツイートが気になっていたから。ローソンの「おやつコッペ リッチミルク」は自分がローマで食べていたマリトッツォを思わせる味だ、みたいなことを言っていて。ローソンにはマリトッツォとして売られている商品もあるのに、ブリオッシュじゃなくて、コッペパンの方なんだ?
マリトッツォは日常的に朝食なんかで食べたりするものだと聞くし、親しみやすさも含めて、「これこれ」という感じなんだろうか。日常に収まる控えめなところがありながら、しっかりおいしい。
むかしむかし、もうずっと前。イタリアのフィレンツェを旅行したときに、バールの一角で売っているブリオッシュや焼き菓子が安価なのにとってもおいしくて、とっても羨ましかったのを思い出した。
おいしいもの好きな国の人は、お金をたくさん払わなくても、有名店に出かけていかなくても、家の近くで当たり前においしいものに到達できるのかと、感心したのだ。
今日の日本では、こうしてコンビニで、100円のコーヒーと211円のマリトッツォ(と呼ぶ)が買えるわけだけど。1ユーロ130円だとして、80セントのコーヒーと1.6ユーロのマリトッツォ。近所のバールで朝食、みたいな費用感かもしれないね。
それで、久々にローソンのマチカフェコーヒーを飲んだら、改めて「これが100円って言うんだから」と驚いてしまうほど、おいしかった。
街のあちこちにあるコンビニで、このくらいのおいしさが、この値段で味わえるんだから、あのとき羨ましく思った豊かさに手が届くようになったのかもしれないね。
もちろん、工場製造のパンとお店で焼いているパンでは全然ちがうし、コーヒーについても然り。でも、300円ちょっとで到達できるおいしさが、こんなに質の高いものだなんて、うれしいことじゃないか。
外コーヒーのおともに、ローソンのおやつコッペ。コンビニコーヒーとスイーツを開発している人たちに感謝しながら、捨てたものじゃない特別じゃない日常を慈しもう。