コーヒーのおともは、どうしても甘いものに偏りがちだ。
甘くないおともを開拓したいと思いつつ、塩気やうまみのあるおいしいものは、お酒の方がしっくりくる場合が多くて、悩ましい。肉よりも野菜の何かが良さそうに思うんだけれども。
ところで、最近、日本茶カフェにいく機会があって、コーヒーもいいけど日本茶もいいよね、という気分になっている。
低温で抽出した玉露のだしのようなうまみは、知ってる緑茶のおいしさとは別ものだった。テアニンといううまみ成分(アミノ酸)が豊富に含まれているためなのだそうな。
テアニンは光合成で分解されるとカテキンになり、これがお茶の渋みになる。栽培の過程で覆いを被せて光合成を抑制すると、茶葉にテアニンが多く残って、渋みや苦みよりもうまみの強いお茶になるんだって。渋みは渋みでまた違ったおいしさがあるので、渋みのあるお茶がダメってことでは、もちろん、ない。
カフェでは、湯温を変えて抽出する味わいを変えながら玉露を何煎か飲んだあと、茶がらにポン酢をかけたお浸しをいただいた。まあ、おいしくて。今後は、うまみが強いお茶を淹れたら絶対に茶がらまで食べようと、心に誓ったくらいの衝撃だった。
それで、甘くないコーヒーのおともに戻ると、茶がらで何かできないかな、という話。
何しろ、緑茶とコーヒーは、ばっちり合う組み合わせなのだ。抹茶ミルクとコーヒーを合わせた抹茶カフェラテが定番のカフェメニューになっているくらい、素材としての好相性は明らか。
粉に挽いた茶葉が合うのだもの、茶がらとコーヒーだって、何か合うものができるでしょう。茶がらは野菜、火を通した青菜だと思ったら、茶がらを材料に甘くない一品がつくれそうじゃない?
さっそく、試してみることにした。日本茶カフェでの感動冷めやらず、八女市・星野村産のちょっといい碾茶 [*1] をフンパツして買っちゃったからだ。茶がらを捨てるのなんてもったいない!
「碾茶」の産地はさまざま
抹茶ミルクのかけ合わせでいくと、乳製品を合わせるのはアリじゃないか。牛乳、生クリーム、ヨーグルト、チーズ…
ほうれん草と茶がらのビジュアルが似てなくもないので、トルコのほうれん草ピザ(ウスパナック・ピデ)に見立て、茶がらとチーズのピデをつくってみることにした。
ほうれん草のピデって、こういうやつ
果たして。オーブンで焼いたら、色は変わったもののちゃんとお茶の味がする。口の中に残る香りもいい感じ。
ただ、カッテージチーズの存在感が薄くて味にまとまりが出なかったな。まずくはないものの、素材をかけ合わせる必然性はない。
ウスパナック・ピデはフェタを使うみたいなんだけど、チーズが強いとお茶が負けちゃうと思って、カッテージチーズにしたんだよね。
お茶の味がしっかりしてるから、うまみが強い熟成チーズを合わせても負けなそう。なんだろう。パルミジャーノとか、カマンベールとか??
甘くないコーヒーのおともを考える、ということで、碾茶の茶がらでトルコ風ピザをつくってみた。つぎに碾茶を淹れるときには、チーズを変えてまた試してみよう。まだまだ、改良の余地ありだ。
今回の材料と作り方はこんな感じ
碾茶の茶がらでトルコ風ピザ 材料と作り方
※ 6gの乾燥茶葉で三煎いれたあとの茶がらを使用(35gになった)
- 強力粉と薄力粉をボウルにあわせて混ぜる。粉の中央をくぼませて、くぼみに砂糖とドライイースト 、ぬるま湯を入れて5分置く
- ①に塩を加え、水分が全体にいきわたるように混ぜる
- 塩 ひとつまみ
- オイルを加えて混ぜ、生地がしっとりするまでこねる。ひとまとまりにしたらとじ目を下にして濡れふきんをのせ、ラップをかけて30分おく
※ オイルはグレープシードオイルや太白ごま油、こめ油など香りの強くないものを使う - 植物油 大さじ1
- 生地の成形を始めるタイミングで、オーブンを220℃に予熱開始する。やすませた③の生地を、オーブンシートの上で厚さ5mmくらいの細長い楕円に伸ばす
※ オーブンの天板にのる長さに収める:対角線いっぱいくらい
- のばした④の生地をオーブンシートごと天板に移す。生地の端2cmくらいを残して、中央に茶がらをのせて薄く広げ、チーズを散らす。生地の長辺の両端をつまんでとじ、茶がらをのせていない部分を内側に折り込む
- 茶がら 35g
- カッテージチーズ 20〜40g
- 生地の表面にとき卵を塗り、220℃に予熱したオーブンで15分焼く
- とき卵 適量
- 塩をふり、食べやすい大きさにカットする
- 塩 適量