京都清水五条に「自家焙煎 珈琲だけの店 Windy」というコーヒー専門店がある。
自家焙煎の豆を使い、ネルで丁寧に淹れたコーヒーはとてもおいしくて、でも、コーヒーを押し戴いて飲まなきゃいけないような緊張感とは無縁。マスターと奥様とのおしゃべりが心地よく、初めてでも、一人でも、リラックスした時間を過ごすことができた。「喫茶」って、こういう、おいしいの周辺も含めた文化だよなあと思う。
Windy さんのメニューには、真正面から味わうブレンド/ストレートコーヒーのほかに、檸檬珈琲や珈琲スカッシュなど、飲み方の提案が色々ある。「ここのコーヒーだけは飲める」と言うコーヒーが苦手な常連さんもいらっしゃるのだとか。
“珈琲だけの店” なのでフードメニューはないが、アイスクリームがあって、こちらも名物。バニラアイスに ①自家製珈琲シロップと挽いたコーヒー豆 ②珈琲シロップのみ ③自家製珈琲酒 いずれかをかけた3種類だ。ちなみに、アイスクリームを食べた後だとコーヒーの味わいを感じづらくなってしまうことから、注文できるのはコーヒーを飲んでから。
ブレンドコーヒーを飲んだ後で、アイスにかけるコーヒー粉、シロップ、珈琲酒を味見させていただいたら、使っているのは全部同じ配合のブレンド豆なのに焦点の当たる個性がそれぞれに違って面白かった。
シロップとコーヒー粉をかけた「カリカリ珈琲アイス」をいただいた。アイスクリームのあしらいにコーヒーが使われているように見えても、主従関係はコーヒーが主で、食べてみるとコーヒーの印象が強く残る。まごう方なきコーヒーメニューだ。
これはぜひ、自分でもやってみたい。帰りにブレンド豆を購入した。普通に淹れるのはもちろん、アイスにかけたりシロップにしたりしたいから、ちょっと多めに。
マスターは「誰でもできますよ」「隠すものでもないし、シロップの作り方だけじゃなく、焙煎のことでも淹れ方でも、お客さんから問い合わせがあれば、なんでも教えるんです」と言う。親切さとオープンさに感心してしまう。
コーヒーを楽しむ人が増えることが喜びだから、独り占めにするようなノウハウはないのだそうだ。盗む側とて、全てを聞いても自分の技量を超えたものを盗めはしないだろうけれども。マスターが造作なくやっていることは、多分、そんな簡単なことじゃないんだ、かっこいいなあ。
レシピを聞きたい気持ちはありつつ、試す過程も楽しみのひとつなので、とりあえず「梅酒みたいなものですよ」という言葉を頼りに、自分で作ってみることにした。まずコーヒー焼酎をつくって、それを煮詰めてシロップをつくる。
近所のスーパーには1.8リットルパックのホワイトリカー(35度)しかなく、使いきれなそうだったので、黒霧島(25度)の200mlカップを買って来た [ *1 ]。芋の香りはコーヒーと合わなくもなさそうな気がしたし、蓋つき容器をそのまま使えば保存瓶の煮沸消毒がいらないのも魅力だった。
梅酒みたいにしてつくるなら、焼酎に氷砂糖も一緒に入れるんだろう。そうすると、小さい容器におさめるには、氷砂糖の分、焼酎を減らさなければならず、出来上がり量が少なくなってしまう。今回は、焼酎にはコーヒー豆だけを漬けて、シロップに煮詰めるときに砂糖を加えることにした。
芋焼酎を使い - 砂糖は後入れで - 濃いめに煮詰めたシロップは、お店で食べた味の再現にはならなかったものの、これはこれでアリ。なんにしても、Windy さんで買って来た豆がいいから、かなりおいしい。豆に力があれば、なんとなくつくってもおいしくなるんだろうと思う。
お気に入りのコーヒー豆のおともに、京都・Windy さんの真似をしてつくる珈琲アイス。コーヒーのおともと言っても、味わうコーヒーは「豆」と「シロップ」。
飲んでおいしいお気に入りの豆がみつかったら、挽いた粉をそのままで、あるいはシロップにして、それぞれに表現される個性の違いを楽しんでみよう。
今回やってみた材料と作り方はこんな感じ。豆の量を増やしたり、煮詰める濃度を変えたり、しばらく遊べそう。
珈琲焼酎 & 珈琲シロップ 材料と作り方
- 容器の中の焼酎を180mlに減らして、コーヒー豆を入れる。
- カップ焼酎(25度・200ml) 1本
- コーヒー豆 20g
- 蓋をして1週間おく
※ 1日1回 上下を返し、蓋を開けて閉め直し空気を抜く
- ②が漬かったら、コーヒー焼酎と同量の砂糖を一緒に小鍋に入れて溶かし、とろみがついて好みの濃さになるまで煮詰める
- コーヒー焼酎 適量
- コーヒーシュガー コーヒー焼酎と同量
- 【珈琲アイス】バニラアイスクリームにシロップをかけ、挽いたコーヒー豆をかける
※ コーヒー粉は、シャリシャリとしっかりとした食感があるくらい、かなり多めにするのがおいしい