金柑を白ワインで煮てつくったコンポートがおいしくて、たっぷりある煮汁を捨てるのが勿体ない気がしてきた。
煮汁をそのままゼリーにするには甘すぎる。炭酸や水で薄めることも考えたけど、「この煮汁」がおいしいわけなので薄めるのは気が進まず、シロップにするのがよかろうと結論した。
一度ゼリーだと思うとやっぱりゼリーが食べたい。甘いシロップをかけて食べる甘くないゼリーをつくることにした。金柑に合わせる甘くないゼリーなら、お茶が良さそう。
煮汁が甘いと言っても無糖の抹茶に合わせるには弱い。緑茶は時間が経つと味が落ちそうだし、水出しならいけるとしても数時間かけて抽出して数時間かけてゼリーにして美味しくできなかったら残念すぎる。味の想像がつくのは、紅茶、ウーロン茶、ジャスミン茶、ほうじ茶あたりか。
深い考えはなく、ほうじ茶にする。ふつうに飲むくらいの濃さに淹れてゼラチンで固めたら、思いつきにしては出来すぎなくらい、金柑のコンポートによく合うゼリーができた。
実は、贅沢して、いいほうじ茶を使ったのだ。ゼラチンで固めるだけ、何の技術もないので素材の力頼みに、飲んでおいしいお茶を使った:鹿児島・天文館にある池田選茶堂の「玉露焙じ茶」。
おやつの材料にするには勿体ないかなと躊躇はありつつ、とは言え「ゼリーにして惜しくない程度にどうでもいいほうじ茶」なんて、家にないし。そんな失礼な買い物しないし。
結果、おいしいほうじ茶を贅沢に使ってよかった。
するっと溶けるゼリーは、あっという間に喉へと消えていくけど、ほうじ茶と、金柑と、シロップと、折り重なる香りは長く続いて、余韻の変化が楽しい。そこにアイスコーヒーをひとくち、口の中に広がる香りになんとも幸せな心地がする。
コーヒーはホットよりアイスがいいと思う。欲を言えば酸味のおいしいやつを水出しで。
ゼリーを作る前に水出しアイスコーヒーを仕込んで、ゼリーが固まる頃にはコーヒーの抽出も終わっている、みたいなのが理想だったな。できあがってから気づいたから、今回は間に合わなかったけど。
水出しアイスコーヒーのおともに、ほうじ茶ゼリーの金柑コンポート添え。香りや後味みたいな、出力の低いささやかな味わいを意識的に感じようとする時間もまた、贅沢なものだ。
材料と作り方はこんな感じ。黒蜜&きな粉をかけてもおいしそう。
ほうじ茶ゼリー 材料と作り方
- 250ml以上の量がとれるように、好みの濃さでほうじ茶を淹れる
- ほうじ茶の茶葉 10g
- 熱湯 300ml
- ①を茶漉しでこし、250ml分のお茶に粉ゼラチンを加えてよく混ぜる
※ お茶とゼラチンは、商品が推奨する割合で、切り分けられる固さに仕上がる分量にする - 粉ゼラチン(ゼライス) 1袋(5g)
- ②を器に入れて粗熱をとり、冷蔵庫で4時間冷やす
- ③が固まったら器に盛り、金柑のコンポートと煮汁をかける
- 金柑のコンポート 適量