正月準備に沸く熱気のなかで買い物をしていると、なにかに浮かされて、慣れないものを買ってしまうことがある。昨年の暮れ、気づいたら、袋にたっぷり入った金柑を買っていた。
実をたくさんつけるから子孫繁栄をもたらすとか、「きんかん」の音を「金冠」とあてて金運上昇を祈願するとかで縁起のいい食材とされ、金柑の甘露煮は正月料理に数えられるそうな。
個人的には正月に金柑を食べる習慣はなかった。はちみつ漬けにした金柑のシロップをお湯で割って飲むことはあり、金柑は、風邪がはやる時季に喉をいたわる食材としてのイメージが強い。
金柑の食べ方を調べてみたら、そのまま食べてもいいとある。洗って齧ると、ささやかな甘さと苦味が素朴においしい。もの珍しさもあって、しばらくはそうして食べて楽しんだ。
なにしろ、袋にたっぷり入った金柑なので、毎日、ふたつみっつ、つまむくらいではなくならない。傷まないうちに、はちみつ漬けにでもしたほうが良さそうだ。
と、いうところで、飲みきれずに料理酒となった白ワインがあるのを思い出した。あれも早く使ってしまいたい。金柑を白ワインのシロップで煮たらいいじゃないか。名案。
金柑を白ワインと砂糖で煮たら複雑な味になって、そのまま食べる素朴さとはまた違ったおいしさになった。ワインも元はぶどう果汁だからか、とってもフルーティーで、加熱したのにみずみずしさが増したように感じる。味見をしたら、コーヒーを淹れたくなってきた。
正月の余韻が残るコーヒータイムのおともに、余ったワインで金柑のコンポート [ *1 ]。クリームチーズを塗ったバゲットにのせて食べるのが、コーヒーのおともには正解な気がする。
最近は、お茶もよく飲むのだけど、緑茶や紅茶と合わせるなら、煮汁をアガーやゼラチンで固めてゼリーにするのもいいかもしれない。
*** 追記 ***
煮汁のゼリーは甘すぎたのであきらめて、ほうじ茶のゼリーに添えてみた:
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材料と作り方はこんな感じ。ワインがたくさん余っていたので水を加えずにつくっている。使うワインの量にあわせて一部を水に替えてもいい。
金柑のコンポート 材料と作り方
- 金柑を水でよく洗って小鍋に入れ、ひたひたの水を張って中火にかける。沸騰したら弱火で3分茹でて火を止め3分おいておく
- 金柑 15個(300gぐらい)
- ①の鍋に少しずつ水を足して水をこぼしながら冷やし、金柑をざるにあけて冷ます。粗熱がとれたら、上下半分に切り分け、ヘタとタネを取り除く
※ 渋みが気になる場合は、もう1回 ①の工程をくりかえす
- ②の鍋を洗い、白ワインを入れて火にかける。沸騰したら3分沸かしてアルコールを飛ばす
※ 加熱中ワインに火がつくことがあるので、鍋の蓋を手元に用意しておく。火がついたら蓋をかぶせて消す - 白ワイン 1カップ(200ml)
- ③のワインに②の金柑と砂糖を加えて加熱し、沸騰したら落とし蓋をして弱火で15分煮る。火を止め、落とし蓋をしたまま冷まし、容器に移して冷蔵庫で冷やす
- 砂糖 1/2カップ(100ml)
- お好みで、トーストしたバゲットにクリームチーズを塗り、汁気を切った金柑をのせる
*1:ちなみに、できあがったこれを、なんと呼ぶか迷ってちょっと調べた。ジャムか? コンフィチュールか? コンポートか? 材料の金柑の原形を残しているので、この3つで言うと、コンポートが適切なようだった。