【レシピ】りんごケーキ(cuor di mela) を先に読む
あれをやらなきゃ、これもやらなきゃ、と気が急いて、どれにも手がつけられない、ということがある。朝、起きて、今日はあれをやろう、と決めたのに、1日の終わりにやろうとおもった「あれ」が手付かずのままだったりして、とても残念な気持ちになる。
自分がなにも進められずにいる間に何かひとつでも進捗しているものがあったら、少しは気持ちが楽だろうと思って、なぐさめにでもなればと電気調理鍋を買ってみた。シャープのヘルシオ ホットクック。
材料と調味料を入れてボタンを押すだけ、とまではいかないけれど、火の前につきっきりでいなくていいから、煮込み料理には重宝する。ちょっと腰をすえて作らなきゃいけないようなものもハードルが下がって、作ってみようかという気持ちになるのは良い変化。
たとえば豚の角煮なら、脂を落とすために1回ゆでこぼしたり、フライパンで表面を焼く手間は省かないほうがいい。それでも、1時間以上の煮込みをほったらかしにできるのだから相当ラクだ。
低温調理ができるのも嬉しい。小豆を煮て冷ましたら米麴を加えてそのまま発酵までお願いできるから、発酵あんこは次からはホットクックで作ろうと思う。
便利さを喜びつつも、元気があれば手間のかかる過程こそ楽しいと思えるはずなのにと、楽しみを機械に渡してしまったような喪失感を覚える。仕上がりに不満がなくもない。肉と一緒に煮たにんじんが柔らかすぎるとか。
それが嫌なら肉と野菜の調理を分けるなり、鍋につきっきりで火からおろすタイミングをはかるなり、手間と時間をかけて自分でやればいいのだけれども、そんな元気はないのだ。
ひとに仕事をたのむ時と似ている。自分の思い通りの仕上がりにならないからと人にたのまず自分で全部を抱えたらどうなるか。ありがちな結末は、抱えきれなくなって、抱えこんだ全てがどれも満足いく仕上がりにならない、というものだ。
容易にできることばかりだとしても、自分のキャパシティを超えてしまえば何ひとつ上手くはできなくなる。能力が足りていたとして、やり遂げられるかどうかは別なことだから。
ホットクックを使ってみて、気力がちょっと足りず何もできないときに、その足りないちょっとを助けてくれる道具に頼ってみるのは悪くない気がしている。相手が機械なら、今の自分は助けが必要なくらい余裕がないのだと素直に認められる。
りんごをたくさんいただいて、なかには表面に傷があるものがいくつかあったので、ホットクックに助けてもらいながらジャムをつくることにした。そうしたら、ちょっとできた余裕でもう一声、ジャムをつかったケーキを焼いてみてもいい気がして来た。
シナモンが香るりんごジャムはコーヒーとの相性がすごくいいし、シンプルなケーキには、気力が十分でないときのコーヒータイムに寄り添ってくれるような優しさがある。
余裕がない日のコーヒーのおともに、ホットクックでフィリングをつくるりんごケーキ(cuor di mela)。もっとちゃんとできるはずの自分は置いておいて、今日のコーヒータイムを今日のベストな状態にもっていくことを考えてみよう。
材料と作り方はこんな感じ。ジャムはケーキ生地ではさんで焼いたけど、アップルパイにしても、ソフトクッキーに混ぜ込んでも、焼き菓子にするなら、なんでも合うんじゃないかな。
りんごケーキ(cuor di mela) 材料と作り方
※ ホットクックを使用しない場合は、フィリングの材料を鍋にあわせて中火で煮詰めてつくる
※ 焼き型にキャビネサイズのバットを使用。もうひとまわり小さくても良いかも
- [りんごのフィリング] りんごは芯を取り除き、重さをはかる。りんごの量にあわせたレモン汁と砂糖をホットクックの内鍋に入れ、その中に、スライサーで皮ごと千切りにしながらりんごを加える。内鍋の中でりんごに砂糖とレモン汁をまぶすようになじませたら、30分おいて水分を出す
- りんご 300g
- 砂糖 90g ※ りんごの30%
- レモン汁 大さじ1と1/2
- ①にシナモンを加え混ぜ、ホットクックにセットしてジャムのメニューで加熱する。できあがりに水分が多ければ、煮詰める
- シナモンパウダー 小さじ1/2
- [ケーキ生地] 卵と砂糖をあわせて白っぽくなるまでハンドミキサーで泡立てる
- 卵 2個
- 砂糖 60g
- ③の生地に溶かしバター、牛乳、バニラオイルを少しずつ加え混ぜる
- 溶かしバター 大さじ4
- 牛乳 大さじ4
- バニラオイル 少々
- 合わせた粉類を④の生地にふるい入れ混ぜる
- 薄力粉 120g
- ベーキングパウダー 小さじ1/2
- オーブンシートをしいた深めのバットに生地の半量を注ぎ入れ、180℃で予熱したオーブンで15分焼く
※ ⑦の作業中にオーブンの温度が下がらないよう、取り出したら再び180℃で余熱する - 焼き上がった⑥の生地の上に②のフィリングを塗り広げ、その上に⑥で残した半量の生地を入れて上面を平らにならす。オーブンに戻し180℃で20−30分焼く
- 冷蔵庫で冷やして生地をなじませてから切り分ける。皿にのせ粉糖を振る
- 粉糖 適量