コーヒーの道具は楽しい。
最初に使い始めたのはカリタの台形ドリッパーだった。その後はハリオの円錐型で、コーノ式とかスイッチとか、ネルに挑戦したこともある。
面白がって使い比べたりしていたのだけど、道具の進化はキリがないのと使いこなす腕がないのと努力し続ける根性がないのとで、家コーヒーの道具は軽々に増やすまいと決めた。
そんな方針下で2年ぐらい止めとけ止めとけと思い続けて、欲しい気持ちが消えなかったから、そろそろいいかとようやく買ったのがエアロプレス(AeroPress Coffee Maker)だ。おもちゃみたいに親しみやすく、使い方は簡単なのに、ばっちりおいしく入るんだ。
公式サイトのショップは日本にも発送をしているし、国内でも色んなところで買える。
底にペーパーフィルターをセットした筒状パーツにコーヒー粉とお湯を入れ、プランジャーで押しながら圧をかけて抽出するコーヒードリッパー。シンプルさが用の美を感じさせる。
ネットで検索すると、たくさんの愛好家によるレシピやメソッドがじゃんじゃん出て来て、楽しい。エアロプレス界隈は、おいしさを追求する姿勢は真摯ながら、遊び心に満ちていて、雰囲気が深刻でないのもいいんだ。
レシピやメソッドを紹介する動画には、内容は緻密でも力みがなく闊達な印象のものが多い。ひとの集まる場に遊びを感じさせるおおらかさがあるのは、フリスビーのメーカーが開発した道具だからだろうか。
家で淹れるコーヒーには「楽しい」も「おいしい」も半々でほしい私にとって、おもちゃで遊ぶような楽しさの中でおいしく淹れられる道具は、気持ちにぴったりフィットするコーヒーのおともだ。もちろん、どんな道具にもそれぞれに違った ”淹れる楽しみ” はあるのだけど。
遊びを誘うエアロプレスに促されて、コーヒーを淹れるあいだにする全てのことを積極的に楽しもうという気持ちになる。豆を挽くとか、湯を注ぐとか、コーヒー粉に湯が浸透し通り抜けるのを待つことさえ。
エンターテイメント= 受動的に消費するもの、となりつつある日常にあって、能動的に自らをエンターテインする時間は創造的で貴重なものだ。さすが、玩具メーカーは創造性を刺激するプロなのだった。
自分の参照用に、いいなと思ったレシピ/メソッドを控えておこう。
平らに堆積させたコーヒー粉をゆっくり抽出する Jonathan Gagné さんのメソッドは、時間と心に余裕のあるときに、じっくり楽しみたい。
本人の動画はブログ用にアップされたものっぽいから、引用は検証動画。
手順の意図と本人の動画は Gagné さんのブログにある。
酸味のおいしいアイスコーヒーを家で楽しめるのは素敵だ。ペーパードリップで淹れるのが苦手な浅煎り豆で挑戦したい。
プランジャーを底にした逆さまの状態でお湯とコーヒー粉を入れ、上下を返してコーヒーを落とすインバートスタイルなら、しっかり浸漬できる。