10月18日は、十三夜(旧暦9月13日)ということで。今日、十三夜の月は、十五夜に次いで美しい名月なのだとか。
どちらか一方の月しか見ないことは「片月見」と言って嫌がられる、と聞いたことがあり、十五夜にお月見をしたから(雲の隙間からチラリとだけ)、十三夜もお月見しようなあ、と思っていた。調べてみたら、どうも、「吉原の遊郭で裏を返さないのは無粋」と同じような話で、東京ローカルの禁忌のようだ。
そもそも十三夜のお月見が日本ローカルの行事らしくて。十五夜のお月見は中国起源だけど、十三夜のお月見は中国にはないのだそう。日本人は月が好きなんだな。もしくは宴が。
十三夜目の未完のすがたを愛でるのは、盛りより走りを粋とする日本人ぽい感覚かもしれない。満ちたらあとは欠けるだけだからね。
栗や豆の収穫時期にちなみ、「栗名月」「豆名月」とも呼ばれる十三夜。お月見コーヒーのおともには、栗か豆の何かが良さそう。手間は(かなり)かかるけど、栗の渋皮煮なんてどうだろう。渋で赤褐色に色づいた、渋皮がついたままの栗のシロップ煮。
渋皮煮をつくる工程では、何度もゆでこぼして栗の渋をぬいていく。でも、コーヒーのおともにするなら、渋は抜きすぎない方が合うんじゃないかな。塩梅はものによるので、色と味を見ながら仕上がりを決めたらいいと思う。今回の栗は、重曹を入れて1回、重曹を抜くのにもう1回だけ、ゆでこぼしている。
十三夜・栗名月を楽しむコーヒーのおともに、栗の渋皮煮。お月見コーヒーで、収穫の秋をお祝いしよう。
※ 十三夜の月も雲間からチラ見。寒くなって空気が澄んできたからか、月の光がいっそう冴えてみえる
材料と作り方はこんな感じ。手間と時間がかかるので、余裕のあるときにたくさん作って汁ごと冷凍してもいい(〜1ヶ月くらい)。解凍は冷蔵庫で。
栗の渋皮煮 材料と作り方
下準備 栗は洗って1〜2時間水に浸しておく
- 鍋に栗が浸かるくらいの量の湯を沸かし、栗を2分湯がく
※ アルミ製の鍋は変色する(らしい)のでステンレスかホーローの鍋を使う - 栗 500g ※皮付き
- ①を水にとって粗熱をとり、鬼皮をむく。むいたあとの栗も乾かないよう水に浸しておく
この動画を参考に魚の骨抜きを使ったらむきやすかった。皮に切り込みを入れるときに、実を傷つけないよう注意!
- ②の栗の水気を切って重さをはかりメモしておく。鍋に湯を沸かし、重曹と栗を入れて弱火に10分かける
※ アクが浮いてきたらすくう - 水 800ml
- 重曹 小さじ1/2
- ③をゆでこぼし、栗を水で洗いながら、楊枝の側面や指の腹で黒い筋をこすり取る
※渋皮を破らないようにやさしく、筋と同じ向きにこする
- 鍋に栗がかぶるくらいの量の湯をわかし、洗った④の栗を入れて弱火に10分かけたら、ゆでこぼす。④と同様に栗を水で洗いながら、残った黒い渋をこすり取る
- ⑤の手順をもう一度くりかえす
※ 茹で汁が赤みを帯びたワイン色になっていればOK。真っ黒であれば水を替えて⑤をくりかえす - 鍋に水と砂糖の1/3量を入れてを入れて火にかけ、砂糖が溶けたら⑥の栗を入れる。沸騰したら弱火にし、紙の落とし蓋をして40分煮る。煮ている間、10分おきに残りの砂糖を2回に分けて加える
- 水 栗がかぶるくらいの量
- 砂糖 ③でメモした栗の重量の60%
- ⑦にブランデーを加え一晩なじませる
- ブランデー 大さじ2
- ⑧の栗を取り出し、煮汁が半量くらいになるまで弱火で煮詰める(20〜30分)。煮汁の粗熱が取れたら栗と合わせる
※ 煮汁に皮や繊維が浮いている場合は、煮詰める前にキッチンペーパーなどで濾す